“エッ、昆虫にも脳があるの?”と思われる方がいるかもしれない。
脳というと学校の理科室に展示してあった人間の脳が連想され、 あの白くブヨブヨしたような皺のよった脳が頭に浮かぶからである。 昆虫の小さな頭の中にはあんな脳はあり得るはずがないと感ずるのももっともである。 また、“虫けらどもに万物の霊長たる人間様と同じような脳があってたまるか”と言われるかもしれない。 確かに人間は極度に発達した脳を持ち、それによって、わがもの顔に地球を支配するまでに至っている。 それに比べれば昆虫などはとるに足らないものと思うかもしれない。 しかし,数の上では地球上の動物種の3分の2を占め、地球は昆虫の王国とも言われる程である昆虫にも 小さいながられっきとした脳が存在している。 昆虫の脳は人間の脳と違ってやや堅い感じの殻を被っており、 “脳神経節(または球)”とも呼ばれている。 もちろん、頭の中にあるが、それから胸部や腹部の方へ“はしご状神経系(または神経索)”と呼ばれる神経節のつながり (胸部や腹部の神経節間のつながり部分は2列にはしご状に並行して走る神経繊維の束)が伸びており、 人間の脊髄にも似ている。 ただし、人間と違って、脳以外の神経索は体の背側でなく、腹側を通っている。 昆虫の脳にも人間の脳と同じように味や匂いを感じたり、物を見たりする知覚の中枢や、飛んだり餌を食べたり交尾したりするする運動の中枢がある。 しかし、昆虫の脳のことだから、そんなに高等な働きはできないだろうとお考えになるかもしれない。 ところが、昆虫の中には“記憶”や“学習”さらに“情報伝達”などという高次な機能を備えているものも存在することが分かってきている。 昆虫もなかなか利口で隅に置けないのである。
最近「巨大脳」と「微小脳」という用語が使われはじめました。
ごく簡単にいってしまえば,巨大脳とは,ヒトの脳のように1000億個ものニューロンで構成されている大きな脳のことです。 また微小脳とは,昆虫の脳のように100万個にも達しない少数のニューロンで構成されている小さな脳のことです。 微小脳という考え方が浸透し始めるとともに,ヒトの10万分の1にも満たない,その小さな小さな脳には,記憶,学習,パターン識別などの機能や,優れた嗅覚,機械感覚を裏付けるメカニズムが存在することが次々と明らかにされてきました。 また,巨大脳と微小脳では個々のニューロンの動作原理は同じなのですが,ニューロンで組み立てられている神経回路の設計原理は異なることが明らかにされてきました。 つまり,微小脳は巨大脳のミニチュアでもプロトタイプでもないのです。
@ 大脳新皮質〜意思・論理で動く人間脳。
A 旧皮質〜本能・感情・好き嫌いで動く動物脳。 B 脳幹〜生命維持(呼吸する、体温調節)を担当する昆虫脳。 3つに分けられる。 例えば・・・ ダイエット中。 空腹時に、ケーキを発見! 昆虫脳:お腹がすくのは、しかたのないこと。食べたいっ! 動物脳:ダイエットなんて無理!自分には出来ないよ〜゜゜(>ヘ<)゜ ゜ 人間脳:目標達成、がんばろう〜! そんな具合です。 何かの判断の時、脳を観察すると冷静になれる! ・・・というものです。
虫を知ってヒトを知る。
ヒトの脳は成人で約1400kg、しわを伸ばすと表面積は2500cm3、新聞紙をひろげた大きさになります。 ニューロンの数も1000億。一方、虫、たとえばバッタの脳は幅2mmたらずで、容積にして約6mm3、ニューロンの数は約40万です。 まさに、微小脳と巨大脳。 しかし、巨大脳は微小脳の進化したものではありません。というのも、 動物は進化系統上、旧口動物と新口動物は5億年前から6億年前に分化しており、 その両雄(トップ)に君臨するのが虫と哺乳類なのです。 つまり、それぞれ独自の道をあゆんで出来上がったもので、 デザインのコンセプトが違っているということです。 昆虫を代表とする微小脳の情報処理システムは速い、けど粗い。 脳とそれぞれの神経節がある程度の独立性をもった並列的な情報システムとなっています。 一方、ヒトを代表とする巨大脳の情報処理システムは、大容量の大脳を頂点とする階層的なシステムで、 しかも大脳にはたくさんの並列的な情報処理システムが配置され、 同時に複数のシステムで情報を精密に処理・統合することができるシステムです。 もう少し詳しくみてみましょう。 ニューロンの軸索を電気信号が伝わっていく仕組みや、シナプスの構造、シナプスでの信号伝達の仕組みは、 ヒトの脳も昆虫の脳も基本的に同じです。 神経伝達物質もアセチルコリン、γ−アミノ酪酸(GABA)、グルタミン酸、ヒスタミン、セロトニン、ドーパミンなど ヒトと昆虫では共通する物質が使われています。 ヒトの大脳皮質は、領域によって違いがありますが基本的には6層構造になっています。 そして、皮質の層構造を縦に貫く方向に柱状の単位構造があり、 これがモザイク状にぎっしり敷き詰められています。 この単位構造はカラムと呼ばれ、ひとつのカラムは約2000から1万5000個のニューロンからできています。 カラムでは、ほかの領域から入力するニューロンとほかの領域に投射する出力ニューロン、 さらに両者を連絡する介在ニューロンがセットになっていて、ニューロンの樹状突起と軸索末端のシナプス結合がいくつも組み合わさった神経回路からできています。 こうしたカラムの神経回路は、特定の情報の処理や、記憶の保持のための「機能的な単位」、 つまり機能モジュールとして働いています。 カラムの数が多ければ多いほど、きめ細やかな情報処理が可能になります。 マウスとサルで認知能力が違うのはカラムの数が違うからということができます。 一方、昆虫の脳では、単一のニューロンが機能モジュールとして働いている例が多くみられます。 したがって、ヒトの脳と昆虫の脳の情報処理の精密さや処理速度の差は、 機能モジュールがニューロンの集団か、単一のニューロンかという違いによるといえるでしょう。 昆虫の脳とヒトの脳ではニューロンの数に歴然とした違いがあります。 これが、情報処理にあたる機能モジュールのサイズの違いとなり、情報処理の精密さや速さの差となっています。 ニューロンの数が多いヒトの脳では、感覚情報を連合野に送るまでに何段階にもわたって処理されますが、 昆虫の脳では2〜4段階の処理で中枢に伝えられます。 昆虫の脳はヒトの脳に比べ、とても少ない階層からできています。 ニューロンの違いはまた、記憶容量にも反映されます。 昆虫は少ない数のニューロンをどのように組み立てて生きる戦略を生み出しているのか? いろいろな昆虫の脳を比較研究して、 微小脳に共通する基本原理を明らかにし、さらに微小脳での基本原理が微小脳に固有のものなのか、 あるいは巨大脳にもあてはまるものなのかを検討することは巨大脳の理解を深めることにもなります。 進化的にヒトと対極的な位置にある昆虫の脳を研究し理解することは、 ひいてはヒトを理解することにつながると思います。
ニューロン10万分の1なので、
そんな余計なものは、ほぼ入ってないみたい。 だから、光に突き進んで自滅みたいのや、 ゴマシジミみたいの カマキリの性行為みたいの 感情を感じさせない行動をとるようだ。
虫の脳は調べれば調べるほど興味深いです。
人間と異質な構造をとっているとか とても知識欲を満たされます。 |